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子猫を保護したけどそのままリリースするしかなかった

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行きつけのお店でお昼ごはんを食べていると帰宅途中の長男から電話が入った。

「歩道橋の上で子猫がずっと鳴いている。こんな何もないところで放っておけないけどどうしよう・・・」

「一匹なのか?ケガはしているか?」

「ずっと鳴いていて声が枯れてるっぽい」

鳴き声を聞かせてとスマートフォンを近づけさせるとびゃーびゃーと元気に鳴く声が聞こえた。子猫はこんな感じだからとりあえず大丈夫そう。
放っておけない気持ちは私も一緒だったので15分くらいで行くからと電話を切った。


***


そこは歩道橋といっても線路を跨いで歩行者・自転車が通れる歩道橋なのでどちらの入口も階段ではなくスロープになっている。2本の線路を跨いでいるからその全長は100mほどある。
きっと好奇心旺盛な子猫はそのスロープを伝って上がってきたのだろう。ちょうど天辺、手すりのたもとに子猫はうずくまってびゃーびゃーと元気に鳴いていた。
私が抱き上げると爪を立て体によじ登るように抵抗する。ケガをしている様子はない。生後2か月くらいだろうか。辺りを見回しても親の姿はなかったが、子猫が鳴こうと人間が抱いていると出てこないかもしれないと思った。


とりあえず歩道橋を降りよう・・・と思ったのだけどどちら側に降りればいいのかわからない。どちらから登って来たのかわからないのだから。
仕方がないので車を停めてある方へ降りて一旦車内に乗せる。座席の足元で静かにしているけど恐怖を感じるかもしれないとエンジンを止めた。


息子に近隣に動物病院がないか調べてもらってる間に、私は猫を保護してくれそうなところを調べた。スマートフォンがあってよかった。


まずは息子が見つけた動物病院に電話をかける。
「子猫を保護したんですが、引き取ってもらえるところをご相談したくて」
私の中で動物病院で保護し、飼い主をさがしてくれるかもしれないという期待があったが、案内されたのは市の動物センターだった。


次にその動物センターに電話をかける。
「何か月くらいの子猫か?ケガはしてるか?元気はあるか?」
その質問に答えるとまた期待外れの答えが返ってきた。
「元気な子猫は引き取れない。ここでは衰弱していたりケガをしている子なら引き取れるのだが。」
ではどうしたら・・・
「母猫が近くにいるかもしれない。人間の匂いが付くと母猫が育児放棄することもあるので、安全な場所に移してください」とのことだった。
歩道橋と高架の下とはいえ、上は高速道路ですぐ傍には線路がある。車の通りも決して少ないとは言い難い。ここにこの子猫をおいていけというのか。
もちろんその近辺から来たのだろうから子猫はその周辺の道路を通ったのだろうけど、一度抱き上げたこの子を野放しにするのに非常に抵抗を感じた。


次に「保護猫カフェ」に電話をかける。
市内といえど移動に30分近くかかる場所だがそこで保護してくれたらという期待は叶わなかった。呼び出し音は鳴るものの電話には誰も出なかった。


そういえば以前何度か行った猫カフェで子猫を保護し譲渡先を募集しているツイートを何度か目にしていたので一縷の望みを持って電話をしてみたら、
「先週から子猫を2匹保護していて今空ゲージがないんです。空いたらお預かりできるのですがお力になれず・・・」

万策尽きた感で取るべきは動物センターのアドバイスなのかと子猫を連れて車外に出た。


***


この子を地面に下ろしたら物陰に隠れ人間がいなくなるのを待っていた母猫が出てきて欲しい。
そう願いながら車道から少し離れた畑の隅に子猫をおろすと、踵を返し私達の横をすり抜け車の下にもぐってしまった。
びゃーびゃーと鳴き声をあげながら車の下で鳴いている。どうしたらいいんだろう。
しばらくすると鳴き声がやんだので車の下を覗くと子猫の姿がない。気づかぬ間にどこかに走り去ったのだろうか?


いや待て。もしかして車体に潜り込んだのでは?
ボンネットを叩く。ドアを叩く。小さく鳴き声が聞こえた。やっぱりいる!
外から見えるところを懐中電灯を照らしてみるが姿は見えない、タイヤの影にもタイヤハウスにも。本当に入ったのか!?と思いボンネットを開けて奥を覗くとそこにしゃがみこむ子猫が見えた!
エンジンを切って5分以上経ってるとはいえ、熱気の残るエンジン付近に気を付けながら手を差し入れるも私の腕は子猫に届かない。
息子が道端の草を引きちぎり車体の下からフリフリするとそれにつられて子猫が飛び出した。ねこじゃらし!ナイス息子!と思ったのも束の間、遊んでいるところを捕まえられそうになった子猫はまたしてもボンネット内に逃げ込んでしまった。


***


数分の格闘後、子猫を再び捕まえることができた。私の腕の中で撫でられて大人しくしている子猫。本当はこのまま連れて帰って飼育したい。でも我が家のマンションはペット禁止だ。
以前からルールを破ってペットを飼っている人がいることは問題になっていて、先日ペットを飼っている人、飼っていない人にそれぞれ誓約書の提出が求められた。
飼っていない我が家は「今後も飼いません」の誓約書を昨日理事会に提出したばかりだ。そんな状況で飼育に踏み込めるわけもなく。

少しでも車に近くないところへとの思いから高架下の立ち入り禁止の空地、フェンスの隙間に子猫を促し放った。母猫が迎えに来たら出ていける隙間のある場所へ。


***


私は猫が好きだ。結婚してすぐ飼った子はペットショップから迎え、完全に宅内で飼育した。私が子供のころにも飼っていたが「猫を拾う」という経験をしたことがない。だから今回子猫を保護してもどういう手段を取るのが正解なのかわからなかった。
リリースした帰り道、何度も戻ろうかと思った。それでもフェンスの向こうでびゃーびゃー鳴く子猫を見守るだけで完全に安全な場所へ連れていくことはできない。
どうしてやるのが一番だったんだろう。正解を教えてほしい。