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『大家さんと僕』を読みながら老後を考える

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2017年10月に発売された矢部太郎著「大家さんと僕」
遅ればせながら読みました。
ネタバレとなる内容も含まれるので今後読もうと思ってる方はご注意ください。

トホホな芸人と大家さんのあたたかな日常。
一風変わった大家さんとの二人暮らし。 


矢部太郎さんといえばお笑いコンビ「カラテカ」の一人。
細くて薄くて風に吹かれると飛ばされそうで、芸人でありながらも自分を押し出すよりフンフンと耳を傾けているタイプ。
大声を出してるようでもその声はか細く主張が弱い。
相方の入江慎也さんは「友達5000人芸人」と呼ばれるほど社交的で各界跨いで交友関係が広く明るい性格なのと真反対にいる矢部太郎さん。
だけど憎むべき嫌うべき要素が見当たらない。
そんなイメージを持っていました、私は。
あながち間違ってなかったみたいです(笑)

そんな矢部太郎さんが書かれた「大家さんと僕」
私がこの本を手にしたのは前評判に惹かれて読みたかったからではなく、楽天セールであと1点買えば買い回り達成だったから(しかも楽天ブックスで買えばさらにポイントドン!だったから)。
マンガであることも知りませんでした。
まぁ、読みたい本リストに書名はあったのだけど。



余談

新聞の記事下広告や、ときどき『ダ・ヴィンチ』を買って読みたいなと思える本を探してリストアップしています。どんどん追加していってるので、なぜ読みたく思ってリストに入れたか忘れた本もありますし、何年か前にリスト入りした本を手にして読むこともあります。


他人と暮らす

他人と暮らす一番の代表格は「結婚」かなと思います。
いくら好きな人との暮らしでも元をたどれば他人で、暮らし方の違いに戸惑ったり擦り合わせたりしながら過ごしています。
夫婦ですら時にすれ違う他人との暮らしが、大家さんと僕となればどんなことが起こるのだろうと興味があったのです。

一つ屋根の下、他人と暮らすと言っても二世帯住宅の下に大家さん、上に僕。
鍵も違うし玄関も違う。一定の線引きはあるようですが・・・
雨が降りだしたり夜露に濡れてしまうからと洗濯物を取り込んで部屋に入れてくれる大家さん。
ありがたいとは思うものの、今のご時世大家さんが合鍵を使って賃貸の居室に入るのはどうなんだろう(汗
大家さんが気にかけてくれたのはすごくわかる。その気持ちはありがたい。
でもそれが常態化したとき、大家と借り手という線引きはなくなってしまうんじゃないかと怖い。
「そんなこと言うのは世知辛い。ありがたく受け止めておけ。」という時代でもないと思うんだ。

「勝手に入られるのは困るのでやめてください」と言える性格ならきっちり線引きできるだろうが、
「ちょっと困るかな」と思いながらも手助けしてくれてる人を拒絶する言葉を吐けない性格の私なんかは、このような近さで他人と暮らすのは難しい。
お世話になってるからと逆に大家さんの手助けもしたくなる。しなきゃ人にあらず!な考えが生まれてくる。
住まいを借りただけのつもりが、いつしか完全に「おばあちゃんと孫」になってしまう気がする。
いつかそれが自分の首を絞め、苦痛に変わる日もくるんじゃないかと思ってしまう。

「ともに暮らす約束」をした関係とは違うもんね。

一言で言えば相性でしかない

他人との一線が薄くなって「おばあちゃんと孫」になってしまう怖さを感じずにはいられないけど、
この著書でのお話はその違和感がほとんどなかった。
一言で言えば大家さんと僕の相性がいいんだろうと思う。
他の人では同じ暮らしぶりは無理だろう。
確かに矢部さんも最初は戸惑う様子があったんだけど、次第に大家さんの様子を気に掛けたりお手伝いをしてあげたり。
矢部さんの穏やかで優しい性格が垣間見えます。

大家さんのゆとり

大家さんも心にゆとりがあって穏やかな物腰に描かれています。
それは「きっといいとこのお嬢さんだったんだろうな」って感じ。
しゃべり方はとても丁寧で、お買い物はタクシーで伊勢丹へ・・・たらこを一腹。
そんな暮らしぶり普通のご老人ではなかなかですよね。
いつも身なりを整え、三食自炊し、風変りな若者への偏見もなく和やかに接する。
だからポロッと出た言葉が確信を突きすぎてたり、笑いを誘ったり。

心が荒ぶったり、乱れる様子は書かれていないのは、本当にそうなのか敢えて書かれていないのか気になりますが、その穏やかで丁寧な暮らしを続ける大家さんのように年を取りたいと誰しも思うのではないでしょうか?

読後の気持ち

「おばあちゃんと孫」になってしまう怖さがあると書きましたが、
この「大家さんと僕」のような関係なら純粋にうらやましいと思います。
お家でお茶をしたり、時々一緒に伊勢丹へお食事に行ったり、庭の草むしりをしてあげたり。
ゆっくりとした時間を過ごすのが苦痛でない相手と一緒に暮らすのっていいなぁ。
家族ではないけど家族のような、互いを思いやる気持ちがあって、ズケズケしてなくて、ほっとする気持ち。

今すぐ「この大家さんのようになれるように自分を変える!」という意気込みとは違って、
時間をかけて何年も先、私もこんな老人になれるように少しづつ心がけていけたらと思いました。
私は大家さんのように独り身ではないから、夫といかに心ゆったり過ごせるように年を重ねるかがこの先のテーマだなと心に留め置きました。
年老いても活動的で趣味も多彩に過ごすのも楽しいでしょうが、人との繋がりで心をキリキリさせなくて済むような年寄りになりたいですね。





ARIGATO☆